(03- 「達人」の英語学習法)
英語がうまくなった人はどのように英語をマスターしたのか?
実際のインタビューの内容がいくつも書かれています。
インタビューを読むと、堅実な方法で学習を進めながら皆さん苦労しているようです。
しかし苦労というよりとにかく英語をやってたなー、という感想の人が多いようです。
ここでは、普通の日本人で12歳以降に英語学習を始め、
留学経験なども豊富ではなく、でも英語能力が上級者だと証明できる方の
インタビューがいくつもあります。
このような条件があるのは、学習環境を分けて考えないといけないからでしょう。
日本で普通の会社員や大学生で、今から英語をマスターしたい!
と思っている人には、とても参考になると思います。
とても共感できるのは、英語学習を習慣化しある一定期間は、
いつもより集中的に学習する時期を設けることです。
サボる日もよくあるけど基本は毎日の英語学習。
そして、ある日から思い立ったように、
朝から晩まで英語漬けの期間があったりします。
毎日英語を勉強してても、このままじゃ全然駄目だ!とふと思い、
英語学習を加速させる期間が、数週間から1ヶ月ほどあったりします。
そして息切れしたかのように、もとのペースにもどるのは私だけではないようです。
定期的な学習とあるときには集中して学習。
英語達人になるための1つの共通点かもしれません。
◆カナダのフランス語の授業の例が挙げられています。
『初級に達するまでの累積授業時間数が1,200時間、
中級に達するまでには2,100時間、
上級に達するまでには5,000時間、という数字が設定されています。』
(P68、達人の法英語学習方法/竹内理著 より引用)
言語習得での目安となる学習時間数です。
習得する言語が母語とどれだけ異なるか、似ているかによっても
数字は変わるかもしれませんが、参考になる数字だと思います。
何事も一人前になるためには、目安として4,000時間が必要!
というのを聞いたことがありますがこれと似ている気がします。
例えば留学して、1日に真剣に英語に取り組める時間が10時間として、
週1日位休むとすると、1年間に英語を勉強できる時間は
300日×10時間=3,000時間位。
2年留学すれば、6,000時間になってかなり使える英語になる?
勉強時間数と学習成果の間には関係性がないとする説もあるようで
断定はできないようです。
でも、勉強を続けているとこれくらいはかかる気がしてしまいます。
◆英語力はどんな感じで上達する?
この本では学習と上達度の間の関係として、のぼり階段のような曲線がかかれています。
学習をいくらか続けた後に突然少し上達し、その後上達を感じない期間がある、、
我慢して勉強を続けることでまた少し上達を感じる。
英語学習の上達についてブレイクスルーという言葉を聞くことがあります。
突然目の前の景色がすっきり晴れたように、あっ!英語が分かる!と感じる事です。
自分も似た経験があります。
例えば、既知語カバー率が95%の文章を初めて読んだときなどはそうだと思います。
英文の90%の語彙を分かっている状況では、
英文をなんとなく理解できるかもしれませんが、
分からない部分も多く気持ち悪い感じです。
95%以上の語彙に達すると理解度がぐーんと上がるので、
突然英語が上達したように感じるのだと思います。
例えば、何か大きな絵が描かれたパネルがあって、
それが分割された状態でふせてあり、
1枚づつめくっていき、ある1枚がめくられたときに、あっ、この絵は○○だ!
と分かるような感じに似ているでしょうか。
自分の英語上達度の推移をみるために、
過去のトイックテストの点数の推移をグラフにしたところ、
自分も階段のような上達曲線になっています。
地道に上達していく事が普通だと思うので、
すぐに英語ができるようにる学習方法は、やはりないと思ったほうがよいです。
◆英語をマスターした方々へのインタビューから、
具体的な学習方法がまとめてあります。
英語の勉強を始めた時期と、
ある程度レベルアップした後では学習方法を変えているようです。
リスニングスキルは、
始めのうちは細部まで細かく聴くことを優先し、文の構造も理解できるようにする。
レベルアップ後に大量の聞き取り学習開始。
リーディングスキルでは、
始めのうちは文法なども理解し、細部まで理論的に理解できるようになってから、
多読で文意のくみ取りを重点に学習していく。
どちらのスキルでも、基礎から身につけて、
実践に近づけていくイメージです。
学習初期からアバウトな意味をくみとる学習ばかりしていると、
どうしても文法的な理解が進まず、文構造が身につかず、
気をつけないといけません。
「英語を浴びるように聞く」とか「とにかく多読」とかは、
自分のレベルを考えずにやってもあまり意味はないようです。
◆スピーキングについて重要なことは、
・音読、シャドーイング、リピーティングが重要
・つかえる例文の暗記をする(1000個位)
・間違ってもとにかく話して情報量の多さでコミュニケーション
するレベルから、正確さに重点をおいたレベルを目標とする。
等です。スピーキングに関しては、
基礎から実践というより、基礎と実践の両方が大切でしょうか。
この本では他にも、英語上達がスランプになった時の対処法、
英語達人の学習例などとても参考になります。
英語上達に必要な重要事項が箇条書きでまとめられていたりもするので、
どうやって英語を勉強しよう?と思っている人、
スランプだと感じている人等、たくさんの学習者の方に推薦できる本です。
最後に、この本のあとがきに書かれていた印象的な内容です。
『論文や著書はたくさん出ているのに、学習者にその成果がいかされている
というわけではないかも…。』
経験則とも科学的とも言えない学習法が出回りすぎていて、
学習者にとって情報の判断が冷静に出来ないような状況にあるようです。